3.


「ふ、っ福引でNY旅行が当たっちゃってさぁ…ははは」

何緊張してんだよ、オレ。

「へぇぇ…福引ねぇ」

オレとキースの会話を退屈そうに聞いていた姉ちゃんが、キースをつついて何か言っている。

あ!そうだっ!!

「キース!悪ぃけど、このホテルの場所だけ教えてくれないか?」

オレは慌てて、ホテル名の書かれたメモを見せる。
せっかく日本語通じる奴が居たんだ。
今のうちに聞いとかないとな。

キースはオレから受け取った紙を見て、突然口笛を吹いた。
連れの姉ちゃんも紙を覗きこむ。

『うっそ!M・マーキース?このボクちゃんがここに泊まるのぉ!?』

ム…何言ってるか判んねぇけど、バカにされた感じ。

キースも何か考える様にオレを見ながらニヤニヤと笑っている。

『そーだな…オレこいつに借りあるし、ちょっと案内してやるわ』

『えぇ〜?私はどぅすんのよ。』

あ、何か怒ってる…

『悪ぃ悪ぃ。また今度な?前言ってたバッグ買ってやるからサ』

『本当ぉ?』

『ホント、ホント』


…何か…妙な雰囲気だぞ…。
う、うわっ!?

2人はいきなりキスを始めた。
オレの目の前で。
しかも、かなりディープなやつだ。

ち、ちょと…お2人さん?
それ、やりすぎじゃね?

オレは目のやり場に困って、オロオロしていた。
そのうちキスを終えると、姉ちゃんは何か言いながら何処かに行ってしまった。




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