2.


「っ…瀬人…」

乃亜が無意識に海馬の名を呟く。

瀬人とボク…何が違うというんだ!?
モクバを手に入れても尚、ボクに無いものを瀬人は持っているというのか…?

噛みしめた唇から鮮血が静かに流れる。

「乃亜…兄様…?」

乃亜の様子に気付いたモクバが唇にそっと口づけ、流れた血を丁寧に舐めあげてきた。

「モクバ…」

唇にモクバの熱と息遣いを感じながら、画面に目を移す。

…この感情は何だ…?

…嫉妬…?
…誰…に…?

理由も判らず湧き上げる悔しさ。

その思いを掻き消す様に、乃亜はモクバの躯を抱き寄せ、自らの舌をモクバに絡めた。
それに応える様に、モクバの舌が口腔に滑り込み這いまわる。

「っンん…ふ…ぁっ」

モクバの思いがけない反応に、乃亜の口端から吐息に混ざった声が溢れ始める。

「っァ…モク…バ?」

乃亜の熱に感化された様に、モクバは行為を続ける。
乃亜の上着を脱がせ首筋に唇を落とすと、そのまま胸元まで滑らせた。

胸元には…紅い華が咲いている。
マリクが残した、快楽の痕。

その痕にも舌が這い、乃亜は微かに躯を奮わせ甘い吐息を吐いた。

「ぁモ…クバ…っ」




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