1.
薄暗い一室…
その中央に置かれたソファに、乃亜とモクバは寄り添う様に腰掛けていた。
目の前には1つの映像が大きく映し出され、そこには2人の男の姿がある。
1人はマリク・イシュタール。
そして、もう1人は…海馬瀬人。
目の前で公然と行われている海馬とマリクの行為から、乃亜は目が離せずにいた。
その行為を見るうちに乃亜の脳裏に、数時間前の出来事が蘇る。
鮮やかに。
それは、忘れることの出来ない映像。
躯が覚えている、熱と鼓動。
そして、快楽。
…数時間前。
突然現れたマリクは乃亜の躯を求めてきた。始めは戸惑った。
いや、恐怖さえ感じ助けを求めた。
しかし、自らの意思とは関係無しに躯はマリクに反応していき、屈辱はいつしか快楽へと変わっていた…。
生まれて始めて味わった感覚。
その記憶が乃亜の熱を起こし、徐々に躯の芯が疼き始める。
マリクに吸われた胸元が…痛い…。
マリク…一体どういうつもりだ…
画面を見つめる乃亜の表情が苦々しく歪む。
あの時…自分が感じたものを、あの2人が今味わっているのか…?
…否、それが違う事に乃亜は気付いていた。
マリクの表情が、自分と交わった時のものと違う。
あんな表情を自分には見せなかった。
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