2.


「何だァ?…海馬、貴様コンナ所で遊んでるのかぁ?」

マリクはニヤニヤと顔を歪ませながら近づいてきた。

目の前に来ると、片手で顎を摩りながら海馬を睨めまわす。

「何時までココに居るつもりだぁ?…こっちは待たされて退屈してンだヨ」

と言うと更に顔を近づけ舌なめずりをした。
鼻先が触れそうなその位置で、マリクの息遣いが伝わってくる。

しかし海馬は顔を背ける事も、体を動かす事もせずマリクを睨み据えたままでいた。

「さっさと、あのガキと話でもナンでもつけりゃいいだろ?」

その言葉に海馬のこめかみが、ピクリと反応する。

「貴様…乃亜を知っているのか?」

「あぁ?アイツ乃亜っつ〜名前なのか。ま、そんな事ぁどーでもイイ事だがな」

そう言うとマリクは海馬の顎を持ち唇を重ねてきた。
舌を唇の内側に這わせ離すと、唇の触れる位置のまま話し続ける。

「アイツぁ、中々イイ趣味をしてるぜぇ?…今も貴様の様子をこっそり見てやがるのさ…」

「だろうな…」

海馬はマリクの手を払いのけた。

「そんな事は百も承知している。だが…」
と言いかけ言葉を飲み込む。

『こちらからはどうする事も出来ない』と言いそうになったのだ。

そんな弱みを見せる気は無かった。


この男にそんな話をしてどうする。

この問題は自分で片を付ける。




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