2.
動揺し離れようとする城之内に、さらに躯を付けると耳元で甘く囁いてきた。
「しよ…?」
「な、なにを…」
「えっち☆」
「こっ、ここでか!?」
焦った城之内は自分でも訳が判らぬまま、そう聞き返していた。
「城之内くん、ホテル代持ってんの?」
持っている訳が無い。
「ぅ…いや…」
などと口ごもっている隙に、マリクは再び唇を重ねそっと舌を這わせた。
その感触と鼻に触れる薫りが、城之内の脳内をマヒさせていく。
薫りは間違いなくマリクから立っていた。
それは、先程の交わりで身に受け続けた精によるものなのか、あるいは薬による効果なのか定かでない。
もちろん、城之内がそんな事を知るはずもなく…
ただ確実に、その芳醇で甘い薫りは城之内の若い雄を刺激していった。
「いいよね…?」
唇や頬を舌で愛撫し、首にまわした手で城之内の後ろ髪を弄びながら、甘える様に問いかけてくるマリクの声さえも耳を擽り、脳を痺れさせる。
城之内は無意識の内にマリクの腰に手をまわし、自ら舌を絡ませていた。
温かく、湿り気を帯びた舌は、お互いを求める様に口腔を踊り続ける。
時折、重ねた唇の向きを変える度にマリクの口から漏れる吐息が、甘い薫りを一層際立たせる。
城之内は自らの熱を感じながらマリクの腰を引き寄せると、さらに口腔を深く、犯していく。
それに答える様に動かされるマリクの口端から、どちらのモノともつかぬ唾液が溢れ出す。
顎を伝い、喉に線を描きながら滴り落ちるそれは、そのまま胸元までたどり着くと服にシミを創っていった。
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