9.


言い終わるや、リシドの胸元に爪をたて…深く、身を刔る様に引き裂いた。

「ぐぁ…ぁ…かはっ」

激痛に顔が歪む。

傷口からは鮮血が溢れ、マリクの腹部にポタポタと滴る。

「フフフ…」

マリクは満足げに笑うと、躯を起こした。

向かい合わせに座り流れる血を舐め始めると、血と唾液の水音が立つ…。

「っく…ぁ…あっっ」

這いまわる舌の感触が、ズキズキと傷を刺激し脂汗が浮き出る。

痛みを消そうと、リシドは腰を動かしはじめた。
その動きに躯が反応するかの様に締め付けてくる。

マリクは血の味に酔いしれ虚ろな表情で天を仰ぐと、リシドの肩にしがみつき自ら腰を上下させ始めた。


快楽の声が部屋に響く。


混ざり合う熱と鼓動。


絡み合う血と汗の匂い。


中心から広がる、
至極の快感―――




2人は意識の途切れるまで、お互いを求め続けた。




〔前頁〕〔次頁〕


〔目次〕
〔携帯TOP〕
〔TOP〕