4.


急に愛しさがこみ上げてくる…。

同じ顔…
「僕」は蒼白い月明かりに照らされている『僕』の顔を静かに眺める…。
その時、『僕』がゆっくりと「僕」の唇に唇を重ねてきた…

『僕』がしているように、静かに…ゆっくりと…目を閉じる…。

もう「僕」は抵抗しない…
『僕』にされるまま…

ああ…波に揺られているみたい…
寄せては返す波のように、何度も唇を重ねているうち、『僕』と「僕」はもう何も着ていなかった…。

心臓はずっと激しく波打ってるのに…不思議と心は落ち着いている…。
      
『僕』の唇が「僕」の体をゆっくりとなぞっていく…。

…首筋も…耳も…。 

『僕』と「僕」が初めて味わう…。

…これは快楽…?

…それとも月明かりが見せる…幻…?



…ベットに座る体を支える腕は、もう力が入らない…。
そんな「僕」に気づいた『僕』はゆっくりと「僕」の体をベットに預ける…。
それでも唇は…体から離れない。

…胸も…肩も…。

『僕』の片腕は「僕」をしっかりと抱いたまま、もう片方の手は静かに動き…「僕」自身に触れている…。
唇を重ねるうちに『僕』も「僕」も自分自身が熱く堅くなっているのを…はっきりと感じてる…。

『僕』が「僕」自身を手でやさしく、しっかりと包み込む。
…そして「僕」は『僕』自身を…。

抱き合う『僕』と「僕」に言葉なんかいらない…どっちが本物かなんて関係ないんだ…。



『僕』も「僕」もどっちも《僕》だ…!




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