5.
《僕達》はもうひとつ…。
お互いを求め合い、そして《僕達》自身を激しく、強く…静かに求め合う…。
そう、誰にも気付かれないよう。
…心と快楽の求めるまま…。
《僕達》の心臓の音と《僕達》自身を求めて体が擦れる音が部屋を満たす…。
蒼白い月明かり静かに、照らされて…!
《…このまま…時間を止めて…!》
《僕達》の時計の針を零時のままで…!
でも、時間は止まる訳なかった。
…そして…《僕達》の白い欲望は…月明かりの空にはかなく舞い散った…。
散り急ぐ桜の花びらのように。
…月明かりに照らされた『僕』と「僕」。
そう《僕達》。
「僕」は『僕』としっかり抱き合って、裸のまま眠った…。
《…このまま…時間を止めて…!》
もう、怖くない…。
∞ ∞ ∞
いつもより少し遅く、すごく気持ちよく目覚めた。
『僕』は隣にいなかった…。
鏡に触れてみても何も変わらない…。
…でも「僕」は昨日の出来事が夢ではないのを知ってるよ…。
唇が、体が、はっきりと《僕達》を憶えているから…。
月明かりは《僕達》をずっと見てたから…。
《僕達ハ本物ダ》
[FIN]
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