2.
…ボォーっと覗く鏡の中の『僕』が手を伸ばす…
手を伸ばす…!?
訳もわからないまま、そっとその手に触れる…暖かい…。
鏡の中の『僕』は「僕」の手を掴んで、音も無く鏡から抜け出した…。
二人の『僕』と「僕」。
千年パズルを完成させ『僕』と出会ってから初めて、生身で向かい合う…変な気持ち…。
目の前にいるのは『僕』だけど「僕」じゃない…
でも、どっちも同じ、自分自身なの…?
「…何しにきたの?」
「僕」は今の状況を理解できてない。
できる訳ないよ…。
『僕』は黙って「僕」を見てる…。
ほんの数秒、数秒がすごく、すごく長く感じる…。
『…用などない…』
「よっ、用もないのに鏡から出てくるなんて…何のつもり?」
一気に声を荒げて言うと、目を慌ててそらした。
『僕』の瞳を「僕」は直視できない…。
目の前にいるのは『僕』だけど「僕」じゃない…!
確かに「僕」はもう一人の『僕』に会いたいって願ってた…。
でも…今は違う…。
目をそらすので精一杯…。
…『僕』の瞳が……
…怖い…!
『…俺が怖い…そうだろう…?』
…『君』は目をそらした「僕」の心まで見透かすんだね…。
そうだよ、怖いよ。
いきなり鏡から抜け出してきた『君』に何もかも見透かされてるようで…怖いんだ…!
…なんて…
そんなの言えないよ…。
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