1.
「…あれ…?…寝ちゃってたんだ…僕」
時計は午前零時…。
ずっと試験勉強してたはずなのに、いつの間にか寝てたんだ…。
教科書もノートも開いたまま、ペンも握ってるけど…勉強は進んで…ない…どれくらい寝てたのかなぁ…。
「気持ちいい…」
閉め忘れた半開きの窓から洩れる、蒼白い月明かりが僕を照らす。
心地よい風が静かに頬をなでていく…。
『………』
…あれ?
今、誰か僕を呼んだような気がしたけど…。
気のせいだよね。
あ、壁際に置いたばっかりの、この大きな鏡のせいかな?
少し前に手に入れた、全身が映せる大きな鏡…。
当たり前だけど、月明かりとデスクライトに照らされた僕が映ってる…。
鏡の中の僕…これは本物の僕…?
それとも千年パズルの中のもう一人の僕なの…?
毎回毎回、この鏡を見る時にだけ思う、些細な疑問。
ほかの鏡を見てもそんな事思わないのに…なんでだろう。
僕の中には僕ともう一人の僕がいて……
どっちが本物なの…?
…僕は…偽物…?
「僕ハ本物ダ」
『俺モ本物サ』
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