3.


「2人ともアリガト」

そう言って2人から離れようとした瞬間、マリクの視界をバクラの顔が覆う。
気づいた時には、すでに口をふさがれていた。
バクラの舌がマリクの唇を舐めそのまま割って入る。
唇の内側を這い回るとさらに奥へ進み、マリクの舌を捕らえた。

「…んっ…ふ……っ」

内側を這う舌の感触にマリクの舌が無意識に反応する。

絡み合う舌と、互いの唾液。

口端から漏れる水音。

まるで口の中で、舌先から溶けて混ざり合う様な感覚。

 キモチイイ…──。

躯がフワフワと浮いて立っていられない。
マリクはバクラの腕を掴んで、さらに舌を絡め合った。


「ふ…っ…ぁっ…」

唇が離れ、吐息が漏れる。
口づけの余韻に浸るマリクの唇を、バクラが軽く舐めて顔を離す。
  
窓から射し込む夕陽に照らされたバクラの顔が、かすかに笑っていた。
薄い銀色の髪は紅く染まり、幻想的に見える。

うっとりと見とれていたマリクの背後から不意に腕が伸び、上着のすそから手が滑り込んできた。急に躯を撫でられ思わず身震いをする。

「っあ…な…にっ?」

前のめりになりバクラの胸に支えられる体勢で寄りかかったまま振り向くと、マリク;の薄ら笑いが見えた。
逆光で額のウジャトがかすかに浮かんでいる。
マリク;はマリクの躯を引き寄せると、首筋に口づけてきた。

そのまま耳元で囁く。


『たまには3人で楽しもうぜ…?』


そう言うと軽く笑い、耳たぶを唇で噛んできた。   




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