2.


──数時間前。

「おい、マリク;」

ぼんやりとTVを観ていたマリク;は、背後から声を掛けられ、ソファの背もたれに身体を反らし天井を仰ぐ形で後ろを向いた。

『バクラか…』

と、目の前に透明の袋が晒された。
中には白く小さい粒が2錠。バクラが面白そうにうすら笑いを浮かべている。

『ナンだ?これは…』
聞かなくても判る、バクラの表情を見れば。
しかし、マリク;はわざと尋ねた。

「催淫剤、さ。…それもスペシャルのな?」

バクラとマリク;は目を合わせると不敵に笑った。
  

∞ ∞ ∞



ほどなくして、マリクの躯が変調をきたす。

「マリク?どうした」

「ん〜…何か熱っぽい…。ぼおっとするし…カゼかなぁ」
虚ろな表情で顔に手をあてるマリク。

『酔ったんじゃね〜のか?ククク…』

「一口で酔うほど弱くないよっ!…もぉ、寝るっ」

からかうマリク;にぷぅっと頬を膨らませて反論し、立ち上がった途端フラリとゆれ膝をついた。

『おいおい、大丈夫かよ?部屋まで運んでやろうか?』
そう言うとマリク;はヒョイと身体を持ち上げ立たせる。

「だっ…だいじょうぶだよっ」
と言ってはみたもののマリクの足元はおぼつかない状態だった。

「オレ様も手伝ってやるぜ?」
そう言うとバクラが近寄ってくる。

マリクはぼんやりした意識の中(何だか王様になった様な気分だなぁ)などと思いつつ、2人に支えられて寝室へと向かった。
  



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