15.
自らの内にリシドの熱と脈動を感じながら、目の前でもがき苦しむ姿を見ていたマリクの心に…熱い衝動が込み上げてくる。
このまま……
オレの中に在るうちに殺せば…
こいつは、オレのモノになるのか───…?
なぁ…?
ドクン。
内側から、中心から、熱い鼓動が全身に響き渡る。
「リ…シド…ぉッ、オレの…為にッ…死ん…で…くれ…ッ」
興奮で声を上擦らせ、自らの呼吸を荒くしながら…マリクは呻く様に呟いた。
そして──、リシドの首にまわした指に力を入れようとした時…。
その手に、リシドが自らの片手を添えてきた。
「…ッ…?」
「貴方が…本当に、それを望んでいるのなら…。
私は…喜んで…この身を、差し上げましょう…。
…マリク様…ッ」
静かに。
マリクの目を見ながら、リシドは、そう答えた。
「っ…チッ。まだ、そんな事言ってやがるのか…?
オレは…ッお前の大切な『マリク様』じゃ、無…ッ」
リシドの反応に不快感を露にしたマリクの、憎々しげに歪んだその顔を…リシドの両手が、軽く包み込む。
「判って…いまいた」
「…な、に…?」
「判っていました…、始めから…」
「何…がッ」
「貴方が…目覚めた時から…貴方だと、気付いていました…」
〔前頁〕〔次頁〕
〔目次〕
〔携帯TOP〕
〔TOP〕