9.
「それじゃ、おさまんねぇだろ…?なぁ?」
クク…と、声を殺す様にノドで笑いながら、マリクはもう片方の手でリシド自身を露にした。
ぞくり。
熱をもち、薄く濡れた自身が外気に晒され、全身が震える。
マリクはリシド自身の全体を指でゆっくりとなぞりながら、耳元に口唇を近づけた。
「オレに触れられんのがイヤなら…自分で処理するかぁ?」
耳の奥まで舐める様な吐息と共に、低く掠れた声で囁く。
その声に、リシドは自分の理性が…少しづつ壊れていく音が聞こえた様で、気が遠くなる思いがした。
何故、こうも簡単に堕とされてしまうのか──
静かに自嘲の笑みを浮かべると、リシドは自らの唇をマリクの唇に重ねた。
シン…とした室内に、舌を絡め合う湿った音と途切れ途切れの吐息だけが響く。
お互いの咥内を執拗に犯し合う、官能的な口づけに全身が汗ばむ。
ぴちゃり、と、いっそう高い水音をたたせ、ゆっくり唇が離れた。
リシドの目に、口端から透明に光る糸を垂らし淫猥に笑むマリクの姿が映る。
その姿は情動的で。
まるで…<夢でも見ているかの様な妖しさに、リシドは神経をズルズルと闇の中へ引きずり込まれていく様な錯覚さえ感じた。
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