6.


その晩。

中々寝付けずにいたマリクは、リシドが部屋を出たのを見計らいベッドを出た。

ふと横を向くと、カーテンの隙間から夜の闇が覗く。
その闇の中、ガラスに映ったマリクの顔が浮かんでいた。


その顔は…



「主人格…様?」



  否、違う。

  やはりオレの顔か?



見慣れた様で見慣れぬ、窓ガラスに映ったその顔を見つめているうちに自分でも訳が判らなくなってきた。


  違う…


  違う。

  違う!!!


  オレは『オレ』だ。

  他の誰でも無い!!


そう、心の中で叫ぶ。



と、その時、リシドが部屋に戻って来た。

カーテンごしに月明かりの照らす暗がりの中、寝ていた筈のマリクが窓際に立ちすくんでいる姿を見つける。

「ッマリク様!どうされたのですか?!」

リシドの目に映ったマリクは、ひどく青ざめている様に見えた。
どこか痛みでもしたのかと慌ててかけよると、その身体を支える様に手を差し出す。




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