6.
鼓動が高鳴る。
「私は、私の意思で貴方の傍に居るのです。貴方で無ければ、意味が無い」
「本当…に?」
リシドが軽く頷く。
「許されない想いだと思っていました。
だから、せめて貴方にお仕えする事で傍に居られればと…」
今まで、何度夢見てきた事だろう。
一番聞きたかった言葉を、一番愛しい人の口から聞くなんて…
ホロリ、と涙がこぼれ頬を伝う。
「あ…アレ…っ、何でだろ。泣きたい程イヤなんじゃない。
違うんだッ…凄く、…凄く嬉しいんだ…リシドっ」
嬉しいのに、涙が溢れて止まらない。
次から次へと、こぼれ落ちる。
「や、やだな…ッ。恰好悪いや…ハ、ハハ」
声が詰まって上手く喋れない。
リシドの両手が、ボクの頬を包み込み涙を拭う。
「私にとっては…マリク様の笑顔が、私の幸せなんです。
…貴方を幸せにする事が…私のやりたい事ですよ」
そう言うと、リシドはボクの瞼に…目元に…頬に…優しくキスの雨を降らせた。
…いつもと変わらぬ、優しい口付け…
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