5.


「大好きなんだ!リシドっ…お前が…大好きなんだよ……ッ」


ボクは、ありったけの想いを吐き出した。

「っ家族としてなんかじゃない!…兄弟とか…友達とか…そんなんじゃ無いんだ!!
他の誰とも比べられない…お前だけなんだよ…リシド…っ」


驚いた様なリシドの表情。
この想いを否定されるのが恐くて、下を向いてしまう。


「だから…、お前には幸せになって貰いたいんだ…。
墓守りの一族としての苦しみを背負うこと無く…」


声が…全身が震える。

心に過ぎる、不安と後悔。


その思いを掻き消す様に、リシドがボクを強く抱きしめてきた。


「リ…シド…?」


「私も…マリク様が好きです」


「…え…?」


いま、何て言っ……


「…マリク様が好きです」


ボクは驚いて顔を上げた。
瞬間、視界に少し照れた様に微笑むリシドの姿が映る。


「イシュタール家の一員としてではありません。
一族への誓いも関係ない…」





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