2.


繰り返される、悪夢。

全身を締め付けられる様な息苦しさに、意識を奪われそうになる。


その時、ドアをノックする音と共にリシドの控えめな声が響いた。

「マリク様、もう起きられましたか?」


意識が現実に引き戻される。


問い掛けの後、ドアがゆっくりと開きリシドが姿を見せた。


「おはよう。今起きたとこだよ、リシド」

窓を背にリシドの方を向く。


と、リシドが少し驚いた様な表情で近づいてきた。

「マリク様…如何されたのですか?」


「え…?」


リシドの指先が、ボクの頬に軽く触れる。


…あ……


「な…みだ…?」


いつのまにか、ボクの頬はうっすらと涙で濡れていた。

慌てて手の甲で涙のあとを擦る。


「っな…なんだろ、何でも無いよっ?…あ、そうだ。外…っ空がスゴく綺麗なんだ!だから、感動したのかも。ほらっ、リシドも見てみなよ?」


ボクは照れ隠しで、必死に言い訳みたいに喋り続け、顔を窓の方に向けた。




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