5.


舌は溢れる唾液と共に軟体動物の様に絡まりつき、喉の奥が先端を優しく包み込んではキツく締め付けてくる。

それは、今までに感じた事の無い快感を生み出してきた。

躯の熱は、止める事も出来ず…解放を求めて昇りつめていく。

「っァ…っ…ッッ───ッ!!」

…声にならない叫び声と共に、ボクは自身から熱を放っていた。


その熱を、ヤツが喉を鳴らして飲み干す。

開放された快感の後に訪れる羞恥心で、気が遠くなりそうだった。

「…ッフ、どうだぁ?闇の快楽は…」

ヤツは淫猥に顔を歪ませて、自らの唾液とボクの熱に汚れた口元を目前に近づけてきた。


「なぁ…オレと同化しな…?闇は…最高の快楽をくれるぜぇ…?」


ペロリ、と舌が唇を這う。

その闇よりも深い、淫蕩な姿に思わず、意識が飲まれそうになる。


…駄目、だ……


必死で頭を振る。


「…姉上サマが、本当に貴様と共に困難を乗り越えるつもりだと思ってンのか…?」


その言葉に一瞬、身が凍りついた。


「父上を殺した貴様を、簡単に許せると思うか?…だから、生きて…一生貴様を闇に苦しめる魂胆なンだよ…」


全身の血の気が引く。


「ち、違うッ!姉さんは…ッ!!」

「ククッ…よぉく考えてみな…」

嘲笑う様に耳元で囁くと、ふいにボクの腰が持ち上げられた。




〔前頁〕〔次頁〕


〔目次〕
〔携帯TOP〕
〔TOP〕