3.
……ドクン……
その言葉に反応する様に、心臓の音が鼓膜に響く。
唇がかすかに震え、目前の男の唇に軽く触れた。
温かいような、冷たいような…どちらともつかない感触。
息が詰まりそうな緊張感が全身を貫く。
そんなボクの姿を楽しむ様に眺め、口元に舌を這わせながら言葉は続いた。
「なぁ…よぉく考えてみな?許されない罪を背負って、どこに光があたるってんだ」
全身が心臓になったように鼓動が響き、その感覚に眩暈をおこしそうになる。
気が遠くなりそうになりながらも、必死で意識を留め言葉を紡ぎ出した。
「それでも…、ボクは…!」
と、言い返しかけた瞬間…ボクの唇にヤツの唇が重なり、言葉は遮られた。
温かく、湿った舌が口腔を動きまわり、吐息が肌にあたる。
その感触が、幻などではないと…相手の存在を知らしめる。
「っ…ッッ!…ン」
長く、深い口づけに息苦しさが募り、口元に唾液が溢れ出す。
静かな闇の中に、吐息と小さな水音が響く。
「ッは…っ…ァ…」
やっと解放された時には、その舌の感触に翻弄され、全身の力が抜けていた。
呼吸が荒く、心臓が激しく脈打つ。
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