1.


「出ました!特賞!大当たり〜☆」

カラン,カラン,カラン

福引会場のオヤジの威勢の良い声と鈴の音が響く。

──買い物帰り。
いつものスーパーで貰った福引券。
5等の洗剤でも当たれば儲けモンだな、と思ってたんだ。
それが…


「ニューヨーク!?」

「へぇ、すごいじゃない☆」

「賞金付きなんだろ?行ってこいよ〜」

皆、好き勝手に盛り上がっている。

「でもな〜、英語も喋れないのに1人で行ってもなぁ…」

「それなら英語の勉強に調度イイんじゃないかな」

貘良の奴、可愛い顔してキツイ事言うね。


結局。
オレ、城之内克也は周りにたきつけられる様にして、初めての海外旅行に行く事になった。



*・*・*・*


「う〜ん…。これからどうすっかなぁ」

空港から、指定されたバスで4〜50分。
どうにかたどり着いたマンハッタン・ミッドタウン。
ここに予約済のホテルがあるらしい。

しかし…

「どうすんだよ…コレでι」

オレは手にしたメモを見た。

日本から此処までの道筋が、事細かに説明されている紙。
賞金受け渡しと一緒に貰ったものだ。
これのおかげでどうにか来れた様なモンなんだが…。

なんてこった。
バスを降りてすぐがホテルじゃ無いのかよ。





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