6.
「キミみたいな人間はモクバの兄に相応しくないって事さ…フフ」
「なん…だと…っ?」
瀬人は怒りに拳を震わせ、今にも殴り掛かりそうな勢いで乃亜を睨み据えた。
全身の血が逆流する様な感覚。
気が狂いそうに高ぶる感情の中、瀬人の表情がフと緩む。
「……?」
「乃亜…貴様の言い分は判った…。だが、そこまで言うなら…貴様がモクバの兄に相応しいという事を証明してみせろ!」
そう言い放つと、瀬人は2人の眼前に自身をさらけ出した。
先程までマリクと繋がりを持っていたであろうそれは、しかし頭を垂れたままの姿で乃亜の目に映る。
「先刻の続きだ。貴様に俺を満足させる事が出来れば納得してやる」
果たして、こんな誘いに乗るのか…。
瀬人は内心で怒りを抑えながらも、揺るぎ無い自信を見せ乃亜を挑発していた。
「フ…、アハハハハ!面白い!面白いよ、瀬人!!ボクに出来ない事なんて無い…。それを判らせてあげるよ!」
────…
瀬人自身を目の前にして、乃亜は少なからず興奮していた。
ソファに浅く腰掛けた瀬人の前にひざまずくと、心臓の音が大きく脳に響く。
…これが、瀬人の……
ふと脳裏にマリクとの行為が思い出される。
乃亜は、深く息を吐くと震える手で瀬人自身に触れた。
「フン。どうした…怖じけづいたのか?」
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