8.
マリクはバランスを失いそうになりながらも海馬にしがみついて、自らの内へと海馬を導き始めた。
収縮を繰り返し、蠢き締め付けてくるマリクの内部は、熱く、深く…悦楽の世界へと海馬を誘う。
「ぁあ…っイイねェ…っ海馬ぁ……俺の中に…お前の闇が流れ込んでくるよ…っァ…く…ぁアッ…っ」
強く、快楽の箇所を擦られマリクの声が高まる。
(俺の『闇』は…)
全身にマリクの熱を感じながら、海馬は先程の記憶を思い出していた。
何故、今更あんな記憶を思い出す…?
あれから数年後、要求されたとはいえ…モクバに同じ行為を与えた時、『アレ』とは関係の無いものだと自ら割り切っていた。
それでもなお、自分は『アレ』を忘れる事が出来ないのか?
…それとも、本当の自分は闇を求めているのか…?
未来の栄光を目指す、その裏側で……
海馬は目の前で今、互いの熱を求め、闇という快楽に溺れ喘ぐマリクの姿から目を反らせずにいた。
(こいつの『闇』はドコからきている?)
海馬の視線に気付いたマリクが、にやりと笑い海馬の耳元に唇を寄せる。
「極上の闇だな…」
自分には判らない。
今は只、躯の解放を求めて…
海馬の動きは次第に激しくなり、マリクの声が響き渡る。
2人はそのまま闇の底へと堕ちていった。
[END]
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