8.


「マリク」

「うん…」

城之内はマリクの名を呼びながら、優しく口づけの雨を降らせた。

汗の滲んだ額に…

透き通る様な、薄い金色の髪に…

震える瞼に…

快楽を求め、半開きになった唇に…

「マリク…」

「なに…?」
マリクがうっとりと答える。

「ここに居ろよ…?」

城之内は口づけを続けながらそう言った。

「ボクは、ここに居るよ?」

城之内がマリクの手をとり、その指に口づける。
そしてマリクを見上げ、また呟いた。

「『ココ』に居ろよ…?」

マリクの頬に、一筋の涙が流れた。


「ボクは…『ココ』に居て良いの…?」

答えの変わりに、マリクの涙にそっと口づける城之内に甘い薫りが、洪水となっておしよせる。

(ああ…このニオイだ……)


城之内はマリク受け止めていた。


マリクは瞼をじると自ら腰を動かしはじめる。

内部は蠢き、城之内自身を締め付ける。
城之内の全てを、感じようとするかの様に。



静かな公園に2人の絡み合う音と、吐息が響き渡る。


甘い薫りに包まれながら。
夜が明けるまで―――




[END]




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