7.
自身を締め付ける内部の感触と、マリクの吐息を感じながら快楽に身を沈めていく…。
と、ふいに噴水の水面に映るマリクの背中が目についた。
めくれた服の端からのぞく『それ』はイシズに聞いた記憶の刻印。
(確か…10才の時に刻ったって言ってたっけ…?)
脳裏に、イシズの言葉が、マリクの過去の話が流れ込んでくる。
城之内は、そっと背中の刻印に触れてみた。
服を上までめくり、褐色の肌に刻まれたその文字を指でなぞっていく。
「ふ……っぁっ…」
指の動きに反応し、マリクが背中を後ろに反らせた。
弾みで片手が水面にあたり、水が肌に弾ける。
背中の碑文の上に広がる翼が水面に揺れ、大きく羽ばたいた。
まるで、このまま飛び立って行く様な……。
はっとした城之内はマリクの顔を見上げた。
月明かりに揺れるその表情は、恍惚の色に染まっていたが潤んだ両の瞳は、しっかりと城之内をとらえている。
「マリク…」
自然と口をついて出たマリクを呼ぶ声に、マリクは嬉しそうに笑った。
城之内の心に愛おしさが沸き上がってくる。
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