1.


━あの時、
真実を伝えるべきだったのか…━


∞ ∞ ∞


静かな夜の闇。

次の地へと向かうバトルシップの一室で、月明かりだけが照らす窓辺に1人の女性が佇んでいた。
その横顔に、苦悩の色を浮かべて…。


ふいに人の気配を感じた彼女が扉の方を向くと、どうやって入ってきたのか…見覚えのある顔が闇に浮かぶ。

「マリク…!」

「随分浮かない顔だねぇ…姉上サマよぉ…」

「あなたに姉と呼ばれる覚えはありません!!」

姉、と呼ばれた女性…イシズはマリクを睨みすえた。

「ククク…相変わらずお気の強い事だ。だが…オレは正真正銘、アンタの可愛い弟マリクさ…」


そう言いながらマリクは一歩、一歩とイシズに近づいていく。後ずさるイシズを壁に追い詰めると、その頬に手を触れ薄く笑った。 

「いい表情だよ…姉上サマ…。憎しみの顔はそそられるねぇ…」

そう言うと、そのままイシズに口づける。唇を舐め、さらに口腔に割って入ろうとした瞬間…。

「っ…!」

マリクが咄嗟に顔を離した。




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