8.


「クク…あれくらいで酔うワケなかろう?」

目が本気である事は遊戯にも判った。
しかしそれと、この行動の意味は繋がらない。

「…じゃあ、どういうつもりだ?」

動きを封じられたままの態勢で海馬に問う。
その間もイヤな予感がして、遊戯の鼓動は早くなってきていた。

「どういうつもり…とは?」

海馬は余裕の笑みを見せながら、問い返してくる。

「オレにこんな事をしてくる、必要性…だ」

少しでも会話を延ばしどうにかこの場を抜け出そう、と遊戯は様子を伺っていた。

「まさか…デュエルに負けた腹いせ、なんて事は無いだろうな?」

海馬がデュエルの借りをデュエル以外で返すとは思えなかったが、この状況では他に思い当たる事がない。

「違うな…」
    
海馬は笑みを崩さぬまま、左手で遊戯の顎を掴み軽く持ち上げる様にした。

「遊戯…オレは貴様を生涯の敵と見定めている。貴様ほどのデュエリストは他に居まい」

遊戯はそのままの態勢で、目を反らさずに話を聞いていた。
さらに海馬は話を進める。

「だが…貴様を標的とし、貴様とデュエルをするうちに…オレの中に、ある感情が在る事に気付いたのだ…」

話がみえてこない、といった風の遊戯に更に顔を近づけ…海馬は言った。


「貴様をオレのものにしたい。」




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