1.


「っマリク様!──危ないッ!!」


リシドの絶叫に近い呼び声が響く。


振り向いた瞬間、目に映ったのはヘッドライトの眩しい閃光。


耳障りな甲高いブレーキ音と同時に、『ドン』と鈍い音が全身を軋ませた。




*;*;*;*




ざわめきの中。


遠くから、誰かが僕を呼ぶ声が聞こえる。


「…様ッ…ッマ……ッ!」


「マリク様っ!!」


その声に促される様に重い瞼を開けると、霞がかった視界の中に、リシドの姿が浮かんできた。

「っ!!マリク様!私が判りますか?!」

いつになく怒った様な表情のリシド。


  どうしたんだよ。
  ボクがお前を忘れる訳ないだろ?




“リシド”






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