4.


次の週末、
遊戯はKC社員の手によって半ば強引に別荘に連れてこられた。
別荘といっても普通の1戸建よりもはるかに大きい洋館である。

「うわぁ…これが別荘なの?!」

大きな一室に案内された遊戯は、辺りをキョロキョロと見渡す。窓が大きく貼ってあり明るい造りになっている。所々に観葉植物等も置いてあった。

「おかけになってお待ちください」

そう言われ、遊戯は中心に位置するガラスのテーブルを挟んだソファの片方に歩みよる。いかにも高級そうなそのソファは、やはり座り心地も良かった。

「ふぅ。なんだかキンチョーするね」

出されたコーヒーを一口飲むと、遊戯はもう1人の遊戯に話しかけた。

『ああ…しかし海馬のヤツ、何を考えているんだ?』
「ええー、そんな疑わなくたって…。ゆっくりデュエルがしたいんじゃないの? 社長とかしてたら忙しそうだもんねぇ。」

本当にそれだけだろうか…?もう1人の遊戯はそう思ったが口にはしなかった。相棒に心配をかけたくないと思ったのだ。

そこへ海馬が姿を見せた。

「よく来たな、遊戯。さぁ、デュエルを始めるぞ」

いきなりである。呆気にとられている遊戯をよそに、海馬は向いのソファに座るとデッキを出した。

「ここでするの?」

「ん?…ああ。最近はソリッドビジョンに頼ってばかりだったからな。たまにはカードの原点に還るのもよかろう?」

「そうだね☆」

遊戯はニッコリ笑ってデッキを取り出した。




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