8.


「なんだ、もう終わりか?乃亜」

頭上から失笑を含んだ瀬人の声が響く。

必死に行為を続けようとしながら、乃亜は声の主を見上げた。
目に映った瀬人の姿は何を感じた風でもなく、蒼い瞳は冷たく乃亜を見下ろしている。
否…その表情は嘲りさえ浮かべていた。


…そんな…、そんな筈は無い…!
このボクが瀬人に負けるなんて事はありえないんだ!!

乃亜は必死に瀬人自身への愛撫を続けた。
しかし、焦れば焦る程に瀬人の嘲り笑う姿が脳裏から離れない。

乃亜の行為に息の1つも荒げる事の無い瀬人の態度に、次第に追い詰められていく。

…何が違うんだ!


──その時。

乃亜の内部にモクバの指が侵入してきた。
入口からゆっくりと解す様に、張り付く内壁を擦り上げてくる。

「ッンぁ…、モク…バ…やめ…ッ…ぅ…!!」

「乃亜兄様…ぁ、オレ…もう…ッ」

そう言うと、モクバは指を引き抜き素早く自身の先端を押し当ててきた。
それだけでモクバの熱を感じ、躯の芯の疼きが高ぶる。

「は…、ァアぅッ」

モクバが少しづつ侵入し始める。
乃亜は圧迫感に瀬人への奉仕も出来ず、苦しげにうめき声を上げた。

と、不意に乃亜の頭が掴まれる。

「オイ…口が疎かになっているぞ…?」

そう言うと、瀬人は冷笑を浮かべながら乃亜の口腔の奥まで自らを押し込んできた。




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